エッセイ・コラム

女シリーズ総決算 

 

 ニューヨークに行って御覧なさい、日本人のヤング・ギャルの多いことビックリするから。 そして夜のナイトクラブやキャバレーでまたまたビックリ、多数の日本のギャルに会うから。 ホステストしての。

「第一の例」

 聞けば学生とのこと、さらに詳しく聞けば、偏差値の不足で日本の大学に入れないので、渡米前に「英語学力試験」(TOEFL)を受けることもせづ、親の進めでアメリカの大学に入るつもりで来たが、入試の受験条件としての英語能力を試され、中3程度の英語も分からないことを思い知らされ、イングリッシュ・コースに通ったが、難しくてついて行けず、、さすがの親馬鹿も仕送りを中止して帰国をすすめるが、さりとて勉強以外に精進して獲得したボーイフレンドを思いきれずズルズルと滞在しているとのこと、いずれ帰国すればアメリカ帰りといって口を拭い、年貢の納め時と観念し、純な日本青年と結婚することになるとのこと、香気の失せた「出がらし茶」を飲まされる日本の青年こそ哀れの一言。

 

「第二の例」

 次なる例はやや上等の部類、高校時代から演劇に打ち込み、いずれは「ブウロードウエイ」の舞台で華やかな出発を夢見る多感な演劇少女が毎年多数ニューヨークにやって来る。そしてブロードウエイに繋がるという触れ込みの演劇スクールに通い、親の入れ込みもあって真摯に頑張るが、生来の派手な身振りが天性のラテン系の競争相手には到底太刀打ちできずに脱落し、それでも誰からも後ろ指を指されず自由に生活できるニューヨークの魅力を捨てて立ち去れず、仕送りの絶えた現実のもと夜の生活に入るのである。

 たしかに敗者復活が可能なアメリカだが、語学力がなければ如何ともしようがない。前例と同様、ニューチョン(単身赴任の日本の商社員)が群がるバーに勤め、日本語を話して郷愁を癒しながらも再起を狙うのだが、生半可な覚悟では語学力の進歩は期待できない。勿論、少数だが別の分野に進み、一応の安定を獲得したギャルもいるにはいる。

 

「第三の例」、これが問題の重大なけ−ス

  日本で一流大学を卒業し、それ相応の会社に入ったが、女であるがための身分と給料の男女格差に愕然とし、さらには腹の出た狸のようなう上役のオジン社員のセクハラを受け、憤然として辞表を叩き付けて渡米し、東部のアイビー系の大学院のビジネス・スクールで血の出る思いで苦闘の結果、念願のM.B.A.(マスター・オブ・ビジネス・アドミニストレーション)資格を取得し、大学の推薦でニューヨークに本社を置く有数の証券会社に入社、直ちに聡明なラテン系の美人秘書がつき、バリバリ仕事をこなしている。

 アメリカは日本以上の学歴社会、いや換言すれば博士、修士、その他専門資格の資格社会、資格に対しては身分、給料の男女差別など考えられない開けた実力社会である。その代わり、競争は真に凄まじいが、業績に応じて所得はうなぎ昇り、本当に日本の会社を見限って良かったと実感する。

 将来のことなどまだ考えるいとまがないようだ。本当に燃えている。 そのうち野望に燃え、野生のオス性をたっぷり備え、しかも優しく理解のある素晴らしい背の君が見つかるだろう。会社ばかりでなく、日本の男を見限るのも結構だと思う。

 アメリカとしてはこのような日米の両方の商習慣や制度を知っているこれら才女達を尖兵にして日本に乗り込み、企業買収に利用するのは当然であろう。

 これこそ、かって、ノーベル賞クラスの学者が日本の大学の閉鎖性と昔ながらのギルド社会に愛想をつかし、続々とアメリカの大学に流れた「頭脳流出」に続く、「才女の流出」である。

 アメリカばかりでなく、シンガポールや香港(香港は返還後、社会の急激な変貌により大半が帰国したが、なお現在も公認会計士、ファンドマネジャーやデーラー、ファッション・デザイナーなど証券、金融、服飾関係で頑張っている凄腕の才女も少なくない))に多数流出している。

 

 諺に悪貨は良貨を駆逐するという。日本の閉鎖的、差別的、そして身内意識の不公正な社会は、優秀な人材の流出を防ぐことはできない。日本では仮にそのような人材が帰国したとしても、その経験と能力を生かせる社会環境と人事制度、即ち「受け皿」がない。そこが問題なのである。

 このように流出した人材が帰国しない割合の高い国は統制社会のシンガポールと独裁国家の中国で、帰国度の高い国は国家感を持つ台湾人と受け入れ態勢の整っているインドである。インドの西北部の高原、インド・シリコンバレイの発展の基盤はこれら帰国人材の力によると言われる。

インドの将来性を占う一つのパラメータでもある

 日本でも明治革新の時代には頭脳流入として多数のお雇い外人を採用したものだった。今でもこの原則は通用する。変化に対応できない役立たずの東大出の高級官僚や、外交、国防、教育問題は票にならないとし、出身母体への利益導入還元を旗印に掲げる利権政治家の代わりに、国の基本の柱をたて直すため、是非とも有能な外部の血を流入してもらいたい。                                         

 

  優秀な女達よ大志を抱け、そして勇気をもって海外に飛躍せよ !!

                                       

 

                                  戻る

inserted by FC2 system