No.10  大山で乗馬を満喫する(クロスカントリー): 山陰の夏を謳歌する

 私にとって山陰の夏は正に天国だ。日々、過酷な欧米特許文献の技術翻訳に追われ、休息のいとまもないが、夏には島根半島の北岸の惣津の岩場で素潜を楽しむのを常としてきた。見た目には海水は清浄で、岩場付近には多くの小魚が群れている。
 四、五メートル以上潜ればサザエやあわびなども採れるのだろうが、三メートルも潜れば水温が急激に下がり、心臓に良くないので、せいぜいニ、三メートルの深度をシュノーケルを装着し、足にはひれを履いて海中漫歩と決め込んでいる。それでも手にはゴム・バンドで発射する刺し又の棒を持っているので小魚を狙うが簡単には命中するものではない。
 しばしの遊泳の後に岩場で食べるホッカホッカ弁当の美味しさは格別である。いつの日だったか、とんびが頭上まで舞い降りてきて弁当のおかずをねだったので、海老天を空に放り投げてやると、見事に空中でキャッチし、満足して飛び去っていくという真に楽しい経験もした。

                     

 
 今年は恒例の素潜りに加えて、大山での乗馬のクロスカントリを満喫することができた。それは北海道の札幌市で私立女子高の教員を退職した実妹の照美女史が馬を一頭飼っていて乗馬クラブに預け、一人娘の理美嬢とともに乗馬に熱中し、大山で遠乗りをしようと来境したからである。
 私は幼少時代を上海で過ごし、父につれられてよく上海競馬場で乗馬の練習に通ったので一応の経験を持っていた。
 そして米国留学中、所は西部なので、ロス郊外の「海兵隊エルトロ航空基地」(アクロバット・チームの「ブルー・エンジェルス」のホーム・ベースで有名)内の馬場で時折の乗馬を楽しんだものだった。 上海のことと言へば、今にして思えば、最近はやりの外交機密費で総領事館が馬を飼育していたのだろうか。各国の外交官達もくるので、交際のツールとしてお互いに乗馬を楽しんだのであろう。 そのような使途は外交機密費の対象となるのだろうが、最近の外務官僚のように私腹を肥すようになったのはいつの頃からであろう。 高級官僚の国家感の喪失と品性の下落を如実に表している。田中外務大臣の孤軍奮闘を声援する。

 さて、大山乗馬クラブは息子が小学生の頃に乗馬を覚えさせようと通ったこともあるが、あれから20年たっている。現在、十数頭の馬を保有し、その殆どが十歳前後のサラブレッドで、良く調教されている。我々は経験者ということで、直ちに道案内のインストラクターの先導で、駈足を含め、梅雨の晴れ間の大山の素晴らしい風景を楽しみながら、目的地の「赤松の池」まで走破した。 馬の動きに合わせて尻を持ちあげる感も取り戻した。 なんだか病み付きになりそう。今回は四キロ・コースだったが、次回は十キロ・コースを選び、駈足に加えて疾走の醍醐味を味わいたいと思う。

 北海道の妹、照美女史母娘よ、本当に有難う。 今度は秋の大山のクロスカントリを楽しもうよ!!。

                             乗馬風景 点描
                               


後日談: 
 灯台元暗しの格言どおり、この境港市内にサラブレッドを三頭飼育し、週末に簡単な練習コース(一周300mほど)で調馬をしている場所があるのに気ずかなかった。お台場公園の東側で、境大橋を仰ぐ馬場である。早速、馬のお世話をされていた高梨様に御挨拶したところ、心易く接してくださり、いつでもお乗り下さいとのお言葉を戴き感激している。叶ホ橋造船鉄工所の副社長の所有だそうな。
 高梨さんの息子さんは幼稚園の頃から乗っているとのこと、実に軽やかに走らせている。 試みに載せてもらったが、馬に嫌われて全く動こうとしない。当分は人参持参でお馬さんに顔見知りになってもらうのが先決とみた。

 楽しみが一つ増えた。 境港は本当に良い所だと思う。

                        

戻る  次へ

inserted by FC2 system